短歌 晩夏

1
ひまわりが怖いとないたセミたちの悲鳴を耳にぶらさげる午後

2
結局は影になるのだ 星求め自分探しの旅に出たひと

3
苦しさを分けてあげます あなただけ笑ってるのはおかしなことだ

4
処世術 啓発本に生きるコツ ぜんぶいらない 私を返せ

5
「誰もみなお友達です」なんて嘘 早く教科書から消去せよ

6
私だけ花が咲かない種もらい水をやりつつまだ泣いている

7
アリスより不思議の国にいるようだ 見て見ぬフリが正義の兵士

8
言い訳が上手くなったねさすがだね 生きてるだけでいいんだもんね

9
切なさは削ぎ落とされて思い出がホントの顔し私を責める

10
「じゃあまたね」果たせなかった約束が溶けた夕刻さよならの色