なぜかしらあなたは私にあまねく了解可能な理由の明示を迫ってくる。そんなものは仮に存在してもおおむね嘘なので「冬か来る前にあなたへ手紙を宛てるんです、奥多摩の小さな美術館の隅に飾ってもらえるよう」と柔らかく抵抗すると、あなたはそれを認めることを試みる作業を怠っておきながら、私の発言内容・意図・所以とアニマ／アニムスの対称性とその衝突原因の追及に腐心しますね。いつもそんなのばかりで、でもお約束ってとても優しいから、微笑ましいです。そこに名声と点数とが重なってゆくのだから、私などは、きっとまるまると太った鴨が九条ネギを背負ってのたうちまわっているような姿に見間違えられるのでしょう。聖賢なあなたのことです、ランラン鼻唄を垂れ流しながら私に手をかける手筈は万端でした。私の涙など煮れば煮るほどに美味しいものだから、今またこうして私の眼前に癒しという名の煮え湯が施されているのですね。わーい！
何かありましたか？
何がつらいですか？
何に困っていますか？
ＯＫ、一つずつつぶさに答えて差し上げましょう。なんてったって、こちら水瓶座ですから、怖いものといえばコメダのエントランスに居座るペッパー君くらいのものです。
◯何かありましたか？
→あなたはこの問いに対してどのような回答を期待されていますか。可能であれば模範の例示を乞い願います。
◯何がつらいですか？
→今ここに座らされて四方をカメラで囲まれて一挙手一投足を観察されているあなたをスケッチすることです。
◯何に困っていますか？
→燃やしもない命を「大切に」「大切に」踏みにじっている他ならないあなたをスケッチし続けなければならない、あなたの猫背に、些末な苛立ちを覚えることでしょうか。あと認識と虚構のチークダンスが止まりません。
解剖／分析は大いに結構ですが、その前にきちんと手を洗ってください。丁寧にお願いします。今や生きづらさはスーパーマーケットの広告の特売欄よりも安売りされていますね。しかもお薬でどうにかできるらしくて、苦悩／葛藤／抑圧と闘う人から魂を奪ってでも「あなた」は信者けたいように見受けられます。ので、おめでとうございます。
>対等だ信頼だとおっしゃるのなら、
>今度は私からあなたへの問いかけをします。
>以下、どうぞご笑覧ください。
◯文脈が息絶えると「あなた」が一斉に笑う理由は？
◯削りたてのHBの先端と激辛カレーは目に入れてはいけないとのことですが、では、スケッチブックの上にピンクのクレパスで眼球を再現してはならないのはなぜですか？
◯無難な結論を3分以内に示してください。
あなたが何座でも最早関係ありません。たとえどんなに祝福された星であろうと、いまに歌舞伎町のネオンを構成する寂しさの一つになるのです。信じるものは巣食われるとも申します、どうぞ安心して手を洗ってください。
私が生きのびるために必要なのは唯一、曖昧さであると、「あなた」はそれだけ覚えておけばよいのです。
喜べ。
