短歌 優しさ

1
ふりこって誰がどうあれあるがままふれているから羨ましいな

2
心臓の奥の奥より奥のほう 君が粗末に捨てたまごころ

3
優しさは流行らないから味のないガムを選んで渋谷を歩く

4
ふたりして爪を噛むからふたりしてひとりぼっちをディスプレイ済み

5
涙まで質に入れたか先生よ フェイクパールが晴れがましいぞ

6
これは何という名前の動物でいつまで君として生きたのか

7
美しいものに心が動くならその揺らぎこそ美しくある

8
UFOを見たよ確かに西の空 君が生まれて死んでゆく街

9
供述によると寒くて寂しくて誰でもいいから抱かれたかった

10
枯葉より軽々しい我が人生の幕間にいる優しい悪魔