短歌 月

1
きみはまた私がすきだなどという そんなことより月がきれいだ

2
ピアノよりきれいな声で泣けるなら今すぐここで泣かせてあげる

3
春を待つきみのとなりで雪を知る たぶん私の早とちりかな

4
整った食器棚には嘘がある 短編映画のラストみたいな

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素数だけ集めておいたアルバムをふたり眺めて別れゆく春

6
おばけにも夢はあるのか ここにいることを誰かに知ってほしいと

7
筆跡に心が映るというらしい だからこんなに折れているのか

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優しくはなれなかったと思い出を修正テープで白塗りにする

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10
奥歯から朽ちてゆきたい さいごまで終わりを知らぬ小鳥みたいに