短歌 手

1
言い訳を並べるだけの「すみません」手にかけたくはなかったけれど

2
鉛筆をナイフで削る指先はおそらく誰も傷をつけない

3
レシピには載らないものを手に入れて料理サイトでエラーになった

4
幼い日ごつごつしてた父の手をふにふに感じ息詰まる冬

5
手を繋げ頭を撫でろもう少し上手に笑え好きなんだから

6
メモ帳の裏に残った筆跡を指でなぞれば春は早まる

7
骨を食む口にあてがう中指に光るアメジストのしたたかさ

8
散歩中いきなり死にたくなったから風を両手でかきこみました

9
花柄が好きとほほ笑む母の手に刻まれたしわを棘と見紛う

10
もろ手上げ星を欲したことはある? ならば平気だ孤独になれる