短歌 手


言い訳を並べるだけの「すみません」手にかけたくはなかったけれど


鉛筆をナイフで削る指先はおそらく誰も傷をつけない


レシピには載らないものを手に入れて料理サイトでエラーになった


幼い日ごつごつしてた父の手をふにふに感じ息詰まる冬


手を繋げ頭を撫でろもう少し上手に笑え好きなんだから


メモ帳の裏に残った筆跡を指でなぞれば春は早まる


骨を食む口にあてがう中指に光るアメジストのしたたかさ


散歩中いきなり死にたくなったから風を両手でかきこみました


花柄が好きとほほ笑む母の手に刻まれたしわを棘と見紛う

10
もろ手上げ星を欲したことはある? ならば平気だ孤独になれる