短歌 穴

1
愛がもし海によく似たものならばなるべく広く深くありたい

2
使い捨てカイロに礼を言ってから捨てるあなたのあたたかいクセ

3
錆び付いて誰も乗らないブランコを揺らすみたいな愛の告白

4
秘密などなにひとつない愛しさがあやまちたちに目をつむるだけ

5
雪が降ることを許されたみたいにあなたの腕へ溶けてゆきたい

6
進化するケモノたちにはいつの日か真実の愛がわかるだろうか

7
口癖を笑ってくれたあなたこそ「なんていうか」が口癖じゃない

8
愛なんて独善だろう嘘だろう売り物だろうみんな群がる

9
つらいとき悲しいとき息詰まるとき静かに注ぐまなざしが愛

10
ドーナツの穴の埋め立て計画を阻止するために食べ切りました