短歌 白

1
雷鳴を受けて微笑むきみがまた万華鏡と手すさびをする夜

2
眠りより優しいものがあるとして信じないのは私の自由

3
また消して書いては消してまた書いて結局捨てたきみへの懺悔

4
みじん切りするとき添える親指の無事を願えど刃が止まらない

5
パトラッシュもう疲れたよみんなしてバッドエンドを期待するから

6
羊たちが眠る時に忘れずに漂白剤に浸しておいて

7
「懐かしい」きみが目を細めて眺める夜のニュースの殺人事件

8
引き金はどこにでもある言い訳と同等だからすべてが動機

9
微笑みはごまかすときに使われる奥の手だって知ってるからね

10
願い事もし叶うならって言われても歯を磨くのに忙しいんだ