短歌 ふたり

1
溶けてゆくバニラアイスを目で追ってなんだかんだで気持ちに気づく

2
包丁を握るその手がもし私のためにあるなら怪我はしないで

3
きみの目に映るわたしはかもめの目をしてきみのことだけ見ている

4
帰り際「楽しかったね」が言えずに「またね」もなくてもう泣きそうだ

5
通販の「ちょっと待った!」がないときの己の強欲さまで愛しい

6
真夜中に一人眺める砂嵐 きみがどこかに映る気がして

7
ごめんねとありがとうとで繋がれば手をほどいても歩いてゆける

8
問題はきみが間違えて食べたと主張する我がプリンの代償

9
しとしとと空が泣いてて生卵をとく音がするそれだけの午後

10
週末は海を見たいなどこまでも続く水平線をふたりで