短歌 喫茶店

1
汗をかくグラスに遺るきみのあと たった二文字が言えなかった

2
頬杖をついて見つめる先にいる大きな蝿にさえ嫉妬する

3
本当は左利きだと知ってたらきみのひだりを支配したのに

4
曇天が晴れ空に化け何事もなかったようにきみは去ってく

5
元どおりになるものなど何ひとつないならいっそ全部壊して

6
氷まで食べてしまえるきみだから冷えたこころで生きてるんだね

7
右を見て左を見てまた右を見てそのうちめまいで倒れてしまう

8
アイスティーおひとつでほんとにいいですか初めから冷えきっていますが

9
ポリシーは「一日いちプリン」だと誇るきみのダイエット計画

10
寝る前に「ねえどうだった?」と聞くきみの自信のなさが実は愛しい