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溶けかけの氷に棲んでいた魔物 誰も知らない夏の夕暮れ
2
熱発しようやくあえる人がいる 彼岸へ渡ったゆきちゃんという
3
コーヒーはブラックで職場はホワイトで見上げた空は曖昧なグレー
4
かたつむり両の耳朶まで顔を出しあたしのふりして笑顔を作る
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正体は0/1でした 天使にも悪魔にもなれぬ二郎の極限
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肩こりの原因はここずっとライブハウスでヘドバンしていないから
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夏ですね烏兎怱怱に終わりゆくお肌のハリと贖罪猶予
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「きみはまだ真の恐怖を知らない」と言われたからには知りたくもない
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手花火が散るのも線香花火と堕ちるのも全部その指先のせいです
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扇風機に突っ込んだ指 バカみたい 傷痕なんて見世物じゃない