1
一歩ずつ進んでいけばそれでよい誰もが空に裁かれている
2
足もとに蝉が転がる 雷鳴と明滅するあなたの横顔
3
雨ののちまた雨が降ることを知り炎天下さえ信じていない
4
真っ白なシャツにぽつんとついた赤いろはたぶんあなたの一部と思う
5
いまあなたが飲み干したアイスティー それ本当にアイスティーか
6
一斉に鳴きやむ蝉は私へのあてつけとして憎しみを聴く
7
枯れてなお愛でられる花があるとききまずは生き続けようと誓う
8
左手にクロアゲハふわりとまった すぐにお前も去ってゆくのか
9
スコールのあとの虹から逃げたくてアクセルばかり見つめるふたり
10
退路にも咲く花があるその道が花道になることだってある