1

骨だけの傘を広げ歩くきみのとなりでちゃんと泣いてる私

2

悪人(とされる)ひとが捕まってそれでも誰も救われぬ街

3

唇がそういう場所と知った日の麦茶の苦さを忘れられない

4

扇風機は居場所をなくしバラバラにされるところが私みたいだ

5

枯れかけのサボテンあすは水曜日たしか燃えないゴミの日(ごめん)

6

ポケットにいつかのレシートがあったらレゾンデートルとしてほしい

7

蝉どもは秋を知らせるためだけにいっせーの、せで地面に落ちる

8

秋だから今日はもう夏じゃないから寂しくたって間違ってない

9

ほらあそこたった今星が生まれたとつぶやくきみの小指がほしい

10

きらめきは正しさじゃなく間違いや傷や叫びや痛みの類語