短歌 粉々

1
手のひらに星を閉じこめ大丈夫いつかいつかと言い訳をする

2
風船が割れてしまったと泣く子のサンダルの下にバラバラの蝶

3
すすきの穂だらんと揺れて手まねきと認識をするぼくの瞳孔

4
すずなりのぶどうひと粒もぎるあの感触と似てこときれるきみ

5
夏がもう逝ってしまった証明としてきみの口角が上がっている

6
ワイシャツの袖にほつれた糸がなぜ真っ赤なのかは決して問わない

7
脳天に花が咲いたら水遣りはきみに任せる スケッチもしろ

8
飛べるはず飛べるはずなの飛べたならきっと自由になれるはずなの

9
ポケットのなかにはビスケットがひとつ♪叩いてみたなら粉々になる

10
狂っても構わないけどどうせなら食器洗った後にしなさい