短歌 パンタグラフ

1
まばたきを忘れてました目の前できみがアイスのふたを舐めてて

2
線路沿いすすきが群れて揺れておりそろそろ壊れていいと気づく

3
ななめったパンタグラフが通過したあとに居残るあの日のふたり

4
坂道の頂にいてこの手にはなにも残りはしないのだろう

5
「守るものひとつくらいはあるでしょう」そう脅されて手にかけました

6
この猫背笑ってくれたきみは今両手を組んで収まっており

7
スカイツリーから見下ろす街はジオラマ 嘘を継ぎ目に使用している

8
ああまたか美人がボロを出すときになぜかいっつも立ち会っている

9
雨雨雨 雨雨雨 まだ雨雨 ひとりぼっちの夜長は雨雨

10
もしきみが帰りたいならドアノブの螟蛾を土産に持っていくべき