短歌 星くず

1
(さよならを忘れたみたい)奇遇だね僕もどこかに落としたみたい

2
曇天を裂いたひかりをこめかみにあてて神さまごっこする午後

3
いつの日か同じ家路につけたなら今日の痛みも記念としよう

4
コーヒーに溶けたミルクをかき混ぜず言い訳が済むのを待っていた

5
へたくそな口笛すらも今はもう遠くで響く玉川上水

6
明滅の赤信号をふたりして呼吸を止めて眺めていたね

7
今まさに踏んだ大地も誰かの血、骨、肉、髪の毛、思い出話

8
枯れ朽ちたひまわり専門処理班は都合次第でお仕事をする

9
答えまで知りたがるのか問題がどこにあるのかさえ知らないで

10
生きているほんの刹那だ恥かいて笑われたっていずれ星くず