短歌 コーヒー

1
ブラックに口をつけたら短めのワンピを着てもいいと思った

2
溶けてゆくミルクを混ぜることもなくひとつになるのをじっと待ってる

3
いつも朝にきみが淹れる一杯は視界を明るく照らすルーティン

4
切りすぎた前髪にまだ気づかずにエスプレッソときみは闘う

5
怒りから逃げて許しにリーチしたそのご褒美はカフェラテがいい

6
摩耗したこころにそっと寄り添って一緒に泣いてくれる褐色

7
失恋の味は甘すぎるあまりにやたらと苦いスタバの新作

8
風呂上がりコーヒー牛乳がうんまいという発見にノーベル賞を

9
「コーヒーが苦手」のステータスはすでに「かわいらしい」には属さない

10
焙煎を繰り返された豆みたい渋い顔まで似てきたふたり