短歌 空が青すぎた日

1
青空はとうにふたりを見放して気づけば秋も過ぎ去ってゆく

2
泣いたなら強くなれるの仰ぎ見た空にひとつも雲はいなくて

3
いい天気あまりに今日はいい天気きみが堕ちても気づかないほど

4
すずかけの葉っぱも枯れて踏まれればくしゃりくしゃりと悲鳴をあげる

5
混み合った待合室でふたりして濃度の高い孤独を溶かす

6
親指の大きさ比べあったこと忘れないでね私は泣かない

7
無力さは罪の深さと比例してひとりの夜に手錠をかける

8
ごめんねはわたしのほうだきみがまだここにいるうちつたえたかった

9
どんな夢見ているのかな夢の中ではせめてもう苦しまないで

10
きみがまた壊れてしまうきみがまた壊れてしまう 神さまは留守