息を止めないと
泳げない僕らだから
呼吸とは足枷のことだ
大空を飛んでみたいと
翼ばかり欲しがる僕らは
神さまのただの誤算だ
息を止めないと
苦しくなってしまう僕らの
息苦しさはもはや喜劇だ(笑え)
息を止めないと地球に還れない
地球から見放された人々が
地球を大切に!などと喧伝して
冬の落暉と一緒に
沈んでいく ばいばい
見送る僕の傍らには
もう何も受信できないラジオと
ちっとも音の出ないハイハットと
呼吸をやめたばかりのラドリオ
お前だけだ 本当に尊いのは
お前だけだ 本当に賢いのは
だけどもばいばい
足枷を失くした人々は
季節の迷子になって
僕の頬を撫でつけて去っていく
風に吹かれると寂しくなるのは
そういう仕組みなのだ
人間とかいう生き物の
どうしようもない仕組みなのだ
ラドリオ、僕はきちんと寂しい
それなのに、まだ足枷は外れそうにない
もしお前まで迷子になってしまったら
この頬に遊びにおいで
僕はとっておきの作り話で
お前を笑顔にしてみせるから