短歌 前日

1
いちご味といちごは違うそれだけで絶望できた頃に戻ろう

2
レモンを家の本棚に隠して本当に爆弾になる半年後

3
青春はビタミンCが過剰です風邪を引いても平気なくらい

4
くしゃみして一歩だけ死に近づいてすぐに離れてそれでも一歩

5
飛行機が頭上を飛んでいることと杞憂の由来を噛みしめている

6
なぜきみが今もひとりでいるのかを知りつつ灯る真白い洋燈

7
End of your happy 欲しかったハッピーエンドのほんとのところ

8
滅亡の前日とてもよく晴れて僕ら歌ってハイキングした

9
その後にも世界は続いているらしく定期券さえまだ有効だ

10
嘘みたいな偶然で僕ら生きてきて死ぬことだけは必然なんだ