短歌 「は」

1
白シャツでカレーうどんを食べるひとだから私は惹かれたのです

2
真夜中にきみの寝言で目覚めても首を絞めたりはしないからね

3
おやすみは優しい響き また明日目を覚ましてもいいなと思う

4
あなたにはわかるはずない痛みまで電子カルテの海に沈んで

5
ぼんやりと過ごしていたら五歳児に生き急ぐよう怒鳴られるとは

6
髪の毛を揺らすそよ風私には私にだけは巡らない春

7
白シャツを着られない日の憂うつは潰されたねじ山に似ている

8
(ここまでは生きてこられた)これからも可能な限り(保証はないが)

9
「錠剤に託せ未来は明るいぞ」どこかの偉い人のお言葉

10
置き去りでちょうどいいから私まだ冬は終わっていないと思う