寝ぼけた顔して
幼い唇でぽろぽろと
退廃的なことを言うの
春だというのに
心臓くり抜くような
我儘ばかり振り撒くの
きみは冬に眠っていたかったんだろうね
魚のような目をして
灰色の空を見ている
饐えた風の手土産を
嬉しそうに平らげて
きみの脳天には梅の花弁が散乱している
私は隣で新しい絵本を読む
聞き入るふりをしてきみは
腐った教条を暗誦している
だから同じ場所が疼くんだ
春です
春です
芽吹いた悪意は皆に愛でられて
咲き誇るのに時間はかからない
お互い呼吸が苦しいはずなのに
きみは顔面に貼り付けた笑みを
どうしても剥がせず笑っている
私は震える手を誤魔化し続ける
あれから幾度春が巡っても
踊る、やめられないふたり
噴出した愛情は頬を伝って
地球へと垂れ流されている
きみの季節は静止したまま
灰色の空に打ち捨てられて
終わりを終わらせるために
嗚呼!どうして無常の風が
春一番と呼ばれるのだろう
終わりたいなら終わらせることだろう
脳天から花弁を拾い上げてきみはまだ
同じ季節の変わり目を鬱々と食んでは
楽しいねって嘘を累々とつき続けるの
くり抜いたそれは
私の大切だから
早く返して
お願い