短歌 街


細胞が分裂をするときの音に耳を澄ませて生きております

2
やめてって言えば言うほどお願いが叶うんだって知ってた?(やめて)

3
東京に特許許可局はないことを悲愴なこととして伝える土鳩

4
人びとはすでに桜を忘れたかスマホ片手に過ぎる緑道

5
迷うことやめた人から人生という名の迷路を退去しなさい

6
腫れ物が破裂した朝知らんふり鏡の隅が少し錆びてる

7
後悔をしてみたいからその釘を引き抜きにくくしておいてくれ

8
雨よ雨 降るなら心まで侵せ等しさなんて求めていない

9
「バナナっておやつに入るんでしたっけ」「言い訳ならばあとで聞こうか」

10
マジシャンが種明かしても人々はもうスマホしか見ていない街