短歌 静脈

1
ハミングをしても針に糸を通してもまだ永遠を編めないでいる

2
電車とは走る棺かもしれない 祈りを添えて朝が生まれる

3
眼球にきみが映ると寂しくて瞬きするの忘れてしまう

4
選択をしなかったほうの道にだけ咲く花がある(そういうものさ)

5
眼球をまぶたのうえで押してみる 大人になってしまいましたよ

6
静脈の青によく似たネモフィラが四月の空に溶けたがっている

7
連れてゆくつもりで縄をほどいたら僕を追い越していった永遠

8
編集でカットするから本当は誰が好きかをここでしゃべって

9
いつかまたどこかでお会いできたなら(具体的には言わないでおく)

10
コンビニで傘を盗まれああこれで許されたって勘違いする