短歌 東京

1
阿佐ヶ谷の次は荻窪 正しさはレールの上の幻想として

2
生き方のハウツー本を手に取って泣けてきたなら間違ってない

3
今踏んだ蟻にも命があったことちゃんと忘れて生きてゆきます

4
線路から飛び立った鳩 間に合った鳩 そうじゃない鳩

5
こんなにも日々は眩しいまぶたさえ塞いでいればすべて薔薇色

6
友がまたひとり彼岸に旅立ってスマホを滑る指の肉見る

7
東京の片隅「返事は不要です」のLINEに既読がまだつかない

8
ペディキュアを塗っているとき呼吸まで忘れることを手紙に書くよ

9
夜明け また風にカーテンが揺れてる優しくなんてなれそうにない

10
阿佐ヶ谷の次は荻窪いい人と出逢えることを願っています