1
月蝕を隠した雲の優しさに気づいた人からほどかれてゆく

2
あの蝶があなたのような気がしては右から順に手にかけてゆく

3
動かない時計の針に触れているあなたのために水汲みにゆく

4
好きという呪いがとけてしまっても一緒にいるよただ生きてゆく

5
ラジオから名前を呼ばれた気がしてスイッチを切る強がってみる

6
伏線の回収業者がやってきて安い縁から処分している

7
チョコレートでできた駅に降り立った天使が兵器を乾かしている

8
肺なんて見たことないしインスタで見たことないし呼吸してるし

9
胚という奇跡を信じ続けても待ちわびているこの世の終わり

10
灰になる プラネタリウムには偽の星ひしめいてこの目に刺さる