短歌 四月馬鹿

1
四月馬鹿八月もまた騙されて拍手の渦に身を潜ませる

2
どうしたらいいかわからずどうにでもなれと引き金に手をかけた

3
リュックから長ネギがはみ出している彼の日常に差す黒い影

4
特急が見逃してきた過ちをSNSに上げる駅員

5
扇風機さえ首を振ることがある 私にもあるはずの拒否権

6
タイムマシンにいちごって名付けても青春時代には戻れない

7
自画像を笑顔で描ける人生を送りたかったが手遅れだろうか

8
のど飴が必要不可欠だったころまるで幸せだった我が声

9
数独を解いているとき孤立した数を指先であたためてやる

10
また世界に裏切られたニョッキってキノコじゃないってみんな知ってた?