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凪を待つ蝶々みたいに呼吸する 明日いいことありますように
2
死にたさをまだ剥がれないかさぶたの下に生まれる皮膚は知らない
3
きみが今どこで誰と何をしているなんて知らない(西風よ吹け)
4
壊れかけ何もきかせてくれない、はすでに壊れているんじゃなくて?
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小夜風に涙をあずけもう一度羽化をしようか月が見ている
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オオモリと聞いて担任ではなくて大盛のほう思い出す夏
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楽園はどこにあるかとGoogleに尋ねる仕事帰りの科学者
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また空だ どの窓開けてもまた空だ「元気でいてね」なんて無理です
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あの人は出ていきました11時14分の準特急に( )
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夏がゆく きみの右肩のクロアゲハ私がちぎって透かした翅