短歌 化物

1
稜線の向こうにはもう何もない 白い絵の具を買って帰ろう

2
ゆりかごを燃やすための火吹き消して胎盤を食む生き物のこと

3
化物と呼ばれるために100点のテストに全部火をつけようか

4
火をつけるために100点を探すが全然なくてボヤき騒ぎに

5
「ザラメってザラザラ鳴くからザラメっていうの」「鳴くと?」「何が?」「いや別に」

6
突っ込んだ首が抜けなくなったのと真夜中きみはLINEを打った

7
荻窪のクボは笑窪のクボですと優しい殺人鬼から教わる

8
今までに何人手にかけたと訊かれじゃんけんぽんでパーを出すひと

9
稜線を越えて手を振る友がいる そう乃木坂が大好きだった

10
フィクションでよかった きみが殺人鬼役を見事にこなす舞台は