短歌 すっぴん

1
すっぴんで葬った過去 果てしない季節の巡りに逆毛を立てる

2
ラジオからやっぱりきみのSOS 聞こえないふりして眠りたい

3
ワイシャツのボタンを掛け違えている 気づいたけれど教えてあげない

4
この街がパズルだったらこのあたしだけ欠けていて完成をする

5
血管に耳を澄ませてぴくぴくとまだ生きている 大丈夫ですか

6
チョコレート化粧の前に頬張って今日もあたしは変われずにいる

7
やんわりと終わりへ向かうこのからだ 眠くなるとは予告編です

8
扇風機すら拒否権がある なのに縦にしか動かないこのこうべ

9
ぷっくりと血を溜める指先の怪我 舐めてくれたら夏が果ててた

10
すっぴんはほんとのあたし 嘘ばかりついても明日も強制あたし