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苦しくて金木犀を手折るきみ逃れられずにそこかしこ秋
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冷凍庫の奥に隠した金魚たち人を恨むか夏を騙るか
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満月は欠けてゆくのみ きみはまだ白紙の手紙燃やせずにいる
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二つめの月は青色回転灯まちの上気を牽制している
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手折られた金木犀の鋒をあなたに刺せば豊かなる秋
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もし羽が生えたとしてもそのとなり私のためにとっておいてね
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冷凍庫から取り出して湯をかけて動いたそれを命と呼んだ
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金色の多摩川渡る特急の七人がけのみんながスマホ
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新月は満ちてゆくのみ きみはまた万能ねぎをみじん切りする
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その背中はだれのものにもならないで羽が生えたら還っておいで