短歌 伝言

1
エラ呼吸できないぼくら輝きは確かにあの日失くしたうろこ

2
うろこ雲見上げて歩く帰り道 神さまがまた居留守を使う

3
そばにいてなんて言えない留守電に悲鳴を入れたなんて言えない

4
言の葉が紅葉したら逢いにゆくひとと決めてる(早くしなくちゃ)

5
なぜソフトクリームは渦を巻いているのかには触れずに告白したい

6
告白があるなら告黒があるはず そう言い残し旅立ったひと

7
伝言。「依怙贔屓するひとはみな地球に優しいことになってる」

8
terraという呉越同舟 中央線が今日も無言で駆け抜けてゆく

9
沈黙は貫くものとわきまえて両手に携えているスピアー

10
伝言。「張れば張るほど脆くなるもの、それは意地を張るこころ」