短歌 指先

1
送信を取り消しました の跡あり猜疑心さえあなたゆえなら

2
鎖骨からまぶたにかけて指先でなぞられたなら地球が止まる

3
唐揚げを持ち帰る夜ふたりして風になれたらいいね冬だね

4
流行語にはなれないと思うけどあなたの指にあだ名をつけた

5
霜月の終わる夜にもとなりではあなたがちゃんと壊れかけてて

6
ぽけっとの多いコートを着ていますたくさん星を詰め込むために

7
掴んだらひしゃげてしまうひとだからなるべく遠くで見守っている

8
秋はいつ冬に化けたかひび割れるくちびる塞ぐあなたの小指

9
手品師がタネも仕掛けもない部屋であなたの余韻を分解する

10
寂しさを曖昧にして霜月を終わらせましょうふたりっきりで