短歌 花

1
風を受け素直に泣けた夜にだけ銀河の果てに咲く花がある

2
もう二度と会えない人にLINEするしゃぼん玉みな壊すつもりで

3
花束を贈りたい人がいることより重いわけなど知りたくもない

4
花びらを口に含んだ夜のこと忘れないでね忘れないから

5
綻んでゆくつぼみたち夢の中でなら許せる時間のなかで

6
可能性 閉じてゆくそのプロセスに野花をそっと添える指先

7
しゃぼん玉必ず割れるのにきれい必ず割れるからこそきれい

8
「ライフイズビューティフル」でも美しいと書いてたぶんかなしいと読む

9
花かんむり編んでくれたのはゆうべ魚を三枚おろしにしたひと

10
いま涙風に預けて前を向く支度を始める(ほんとにごめん)