短歌 早春

1
白壁にピンクの|花弁《かべん》春はすぐそこまで来てる(頭が痛い)

2
苛立ちは生ぬるさゆえ風さえも優しくなってしまう季節だ

3
ぎちぎちにイルミネーションを巻かれた桜が笑うまで、あと●秒

4
その地図に春は来るかい来ないならピンクのペンを貸してあげるよ

5
愛未満我儘以上嫌悪感深呼吸且つ深い溜息

6
導火線にも春が来る火をつけて笑っていいか確認をする

7
口笛の練習をしていたはずが舌打ちばかり上手になって

8
好きなだけサンドバッグにされたから好きなだけサンドバッグにする

9
食べ方がわからないから春なんだ誰もかれもが試されている

10
春です、と告げる風ありまたひとつどこかで誰かの時計が狂う