1
ブランコを思い切り漕ぐ大人にはなりたくなかった つま先で蹴る
2
「ジュラ紀にもいじめが存在したらしい」「変わらない良さがありますねえ」
3
鉄くずが人工衛星だったころわたしもみんな大好きだった
4
雨の日の少女鏡に懐かしく今も小さなほくろを撫でる
5
沈黙が氷雨となって降った午後ゲームオーバー画面が明るい
6
ぽけっとに手を突っ込んで街をゆく誰を斃せばいいのだろうか
7
真夜中に遊んでくれた蝿が朝、灰になってて声が出せない。
8
消えたいとつぶやき「いいね!」をもらった目にチカチカするハートの赤
9
赤なのに進み続ける人々の令和の乱を遠く見ている
10
道端で拾った鍵が錆びていて何も開けられなくて愛しい