1
干からびた蝶を燃やす火 忘れたら許されたのと同じことだね
2
カポエラかカポエイラかで揉めたよねシャペウ・ジ・コウロが告白だった
3
雨の日につけあった傷鮮やかに全治一生であれと祈る
4
(内緒だよ)(何が?)(それだよ)(ああこれね)風が吹いたらキスの続きを
5
ジムノペディ口ずさむきみの手のなかですぐぷっつんする祭りの金魚
6
ひとりからふたりになって失ったものを数えて指が足りない
7
コーヒーをふたりのために淹れる朝 再生ボタンのさんかくがすき
8
目の中に星を招いてまばたきをするたび銀河に抱かれてゆく
9
きみの目をわたしのそれと結びつけまだ意味のない星座をつくる
10
限りある尊いいのちだからこそきみの死因になりたいのです