短歌 花る

1
もし花るという動詞があったなら視界はもっと色を知ってた

2
花れたら見えてる景色が違ってた近すぎるから枯れてしまった

3
教養の寡多を競った日々を抜けどれだけ花ることができよう

4
花としてあるいは憂いを識る獣としてあなたの指に絡まる

5
花よ花ほしかったもののすべてが花であったと気がついて泣く

6
暮れてのち誰も通らない舗道で花るひとだけ笑えたらいい

7
花れない人もいるから辞書に載る「許す」の頁が厚くなってく

8
自らの花を引き裂き〈成長〉と言い張る人よご飯にしよう

9
結論は後にしようか花もまだ境界線を彷徨っている

10
花るっていつ流行るかな流行ったらみんな優しくなれると思う