1
虹を見るカニバリズムはリズムだと言い張るきみとまた虹を見る
2
空に虹となりにきみがいることと六切りパンの精緻な厚さ
3
生まれたら死ぬからねえと指先の羽虫に向けるあわいまなざし
4
ガーベラのまんなかにある黒、指を突っ込んで染む確かなる闇
5
どよめきのなかできみだけきみだった虹を見たいとつぶやきながら
6
まだ冬の残滓が胸に沈澱し春風の吹く(ついていけない)
7
あれは虹 あれも虹 あれ? あれも虹? 目を凝らしたらなんだ虹かよ
8
パンを焼くときに最初に思い出す名を口ずさむもう桜どき
9
雨のあと必ず虹が出ていたら誰も見向きもしないだろうな
10
「羽虫にも愛した虫がいたなんて思いたくない」というリズムで