短歌 殺し屋

1
殺し屋の履歴書「特技」の欄に「箸を正しく使える」とあり

2
「お仕事は?」「殺しを少し」笑われる 人を笑顔にするお仕事です

3
唐揚げにするためにもも肉に包丁を立てる(練習がわりにもなる)

4
帰り道ちゃんと殺したはずなのにきみは横断歩道を つらい

5
熟れてゆく果実を腐るまで放置する 無関心というやいば

6
将来の夢に絶対入らない殺し屋も税金は取られる

7
殺したいほど好きですと告られたからその時を待ち続けてる

8
方法はいくらでもあるでも理由わけを答えられずに 春雷遠く

9
花冷えにかざす切っ先こんなこともうしたくない きみは微笑わらった

10
「前職は殺し屋でした」美容師の爆笑を買い春は過ぎゆく