短歌 耳

1
右耳にはじめてあけたピアス もう戻れないのが心地よかった

2
耳たぶの存在意義を問いかけて二の句失う缶チューハイよ

3
風の丘 耳にピアスを欠かしたら自分らしくはあれないだろう

4
二番目じゃダメなんですと涙声ゆれるピアスに嵐の予感

5
どれくらい情けなければいいだろう真夜中に聴くピンクフロイド

6
新しく増えたピアスホールの意味 ただの傷口として今はまだ

7
耳たぶは優しい場所だ誰しものそれがふにふに(触ってもいい?)

8
ベランダで風の歌うを聴いている遠く遠くでサイレンが鳴る

9
右耳のほくろを占うためだけにそんな近くに寄ってもいいの

10
終わっても耳たぶだけは居残ってふたりの体温未来へ遺す