短歌 虚

1
他人ひとのため傘を差し出すひとだけが濡れている街とても虚しい

2
傘さして待っていました穿たれた虚しさやがて光りだすのを

3
書きかけの手紙を破る さらさらと虚しさが遊びにやってくる髪

4
虚しさはAmエーマイナーがよく似合うライブハウスの隅に居座り

5
降るな雨、泣くなよ私 虚しくもなれずハッピーエンドばかりで

6
そのときはよろしくねって言い遺しあの子は永久とわに虚しさになる

7
白い犬 黒い犬 赤い犬 拒絶できないほどの虚しさである

8
「滅びれば滅んだなりの未来あすがある」笑顔のひとの描く虚しさ

9
「虚しいからってラー油をなんにでもかけるのやめてほしいんだけど」

10
虚しさに口づけしたら嘘になる 言葉遊びも虚しい居場所