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「ごめんね」を言い出せないで夕飯後渡すつもりのコンビニプリン
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街あかり きみはあらゆる寂しさに若草色の栞を挟む
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昼寝するとなりで雨を眺めてる すき の呪文はまた独り言
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ピリオドを消し去りたくて加速する空も泣いてる夜のドライブ
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カレンダーめくり忘れてループして四月に封じこまれたふたり
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缶ビールひとつ分けあう連休にはだしになって夏待ち伏せる
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渋滞中しりとりをする「すき」「きらい」「いまのじょうだん?」はいきみの負け
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この味で育ったはずの手料理においしいよって感想を言う
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アマビエをアマエビと呼ぶきみの袖短くなって巡りくる夏
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熟れすぎたトマトに包丁立てるきみ すべて気圧のせいにしようか