今日の短歌 住民票

1
ビー玉を狙ってラムネ瓶を割るようにまっすぐ欲しがってくれ

2
海を見に行こうと床のきみがいう約束じゃなく命令として

3
ベランダで夏の星座を探してるきみに缶チューハイを差し出す

4
きみがまた下手な口笛を吹くから悲しみになど浸れない午後

5
ツユクサと揺れる風鈴うっとりときみは傷跡を撫でて笑う

6
冷蔵庫に住民票を移したい暑いしんどいくるしい暑い

7
今はただふたりでいよう(星の降る)元気なんかじゃなくていいから

8
泣けたならいいのにねって笑うきみソーダ水の泡を数えながら

9
消えられる泡が羨ましいというきみの憂いを半分よこせ

10
泣きたくて泣いてるわけじゃないきみがまたそうやって笑ってるから