今日の短歌 遮断機

1
唯一になれなくなってそばにいるゆく夏の背に影を穿って

2
下を向く向日葵たちが淀みなく人間たちを睨みはじめる

3
上を向くだけが生き様ではないと晩夏の向日葵たちの遺言

4
のびすぎた前髪揺れるきみのことあなたって呼ぶのは初めてで

5
せみぽとり路傍は秋よ遮断機がわんわんと鳴く死ぬのは嫌だ

6
いじめっこという生き恥晒さずに受けた傷なら誇ってもいい

7
遮断機がわんわんと鳴くふたりしてしんしんと泣く目も合わせずに

8
遮断機にふたり拒まれ目の前を中央線がいきいき走る

9
いじめっことは歩く恥 恥のまま歳をとるんだから可哀想

10
八月が終わり九月が始まるがただそれだけのこと大丈夫