1
火曜日のエンドロールにきみの名が焼きつけられて今日は満月
2
満月を言い訳にして仲直りきれいだねって月のほうかよ
3
薬局で分けてもらったサムシング毒か薬か知らないで飲む
4
コンセントにピンセット挿し感電し呻いた過去もただの思い出
5
「役に立つ」なんて定規は焼き捨てて回転しない木馬を磨く
6
切り花はリビングデッドと知りつつも大事な人のために束ねる
7
綻びは終わりのしるし笑うきみ拒絶できない桜の便り
8
ターミナル駅の静けさそれぞれの帰り道照らす夜の桜
9
失ったものを数える指先で首筋のあと花びらに沿う
10
のびすぎた前髪ゆらす春風にああ、呼ばれたと侵されるきみ