1
バス停で偶然会ったふりをするためまわり道した雨の夕方
2
いい人とどうでもいい人の狭間で白いポピーが小夜風に咲む
3
もう無味なチューインガムと過ごす夜 吐くタイミング掴めずにいる
4
新しいピアスをなくしどうやって生きてやろうか思案する夜
5
大丈夫、傷ついたって。傷つけるよりはよっぽど美しいから
6
めでたしの続きをずっと紡いでく なんてことないきみとの暮らし
7
街はもう桜を忘れあまつさえ市外局番まで気にしない
8
それでいい 風を目で追う夕まぐれなんとなくでも生きているなら
9
助手席の寝言に合わせアクセルを強く踏み込むきみの企み
10
あなたにも獣と同じ色の血が流れてること忘れないでね
