1
髪切ったわけをきちんと質してよきみのせいだと糾したいから
2
「雨ですね」それきり口を開かずにふたりぼっちで遠雷を聞く
3
リビングのカレンダーもまだ五月だしまた連休があったっていい
4
ほっといてくれといわれてほっとくとなんでほっとくのっていわれる
5
水たまり(次の連休いつだっけ)映った顔がちゃんと泣いてる
6
それぞれの家に去りゆく満員の電車に詰まるいのちの重さ
7
夕暮れの「もういいかい」が遠ざかる壁にもたれてサイレンを聞く
8
あなたにも言い分がある、わかってる 熟れすぎた実はくちゃんと落ちる
9
きみの名を口にするとき心臓が世界最狭謀反を起こす
10
横にしか首を振らない扇風機 冷えたゼリーにスプーンを挿す