1
お土産は大事な人を数え買う片手で足りずじんわりとなる
2
真っ青な田んぼを鷺が堂々と羽ばたきもせず満足そうに
3
東京へ戻る列車はまたの名を現実行きと呼ばざるを得ず
4
降り注ぐ火の粉を数えているきみ正常なんて野暮な季節だ
5
ゆりかごを胸に置きざり泣きかたもわからずきみは大人になった
6
打ち上がるたびにこっそり見つめてたまつ毛の長いきみの横顔
7
仲直り後回しにして向かい合うコンビニアイス沁みる月曜
8
欠けてゆくからこそ満ちる月のごと癒えれば傷は輝きとなる
9
傷の数優しくなれる人間のそんな仕組みが今は愛しい
10
痛みこそ私のしるべ天使にはなれないけれど笑えているよ