今日の短歌 喝采

1
耳朶に降る月の光を閉じこめたピアスはきみの声でささやく

2
蟻が征く覇道に垂れた汗ごめん悪気も意味も特にないんだ

3
ぷんすこはプリンの複数形であるってその嘘たまらなく好き

4
ただいまを二度と言えないあの家を遠く離れて「しあわせ」になる

5
ひとまわり大きい影を窓ぎわに落として桃をまっぷたつにする

6
いちじくをつまむ指さき希望って逆接からは遠い概念

7
「かわいそう」外は雨だとつぶやいたけれどなぜだかきみの耳には

8
東京は人がたくさんいるけれどひとりと傘と風とひとりと

9
喝采を浴びるでもなく宵闇を背負うでもなくそこに咲く花

10
いいえって言えなかったなまた少し自分が嫌いになるレッドアイ