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耳朶に降る月の光を閉じこめたピアスはきみの声でささやく
2
蟻が征く覇道に垂れた汗ごめん悪気も意味も特にないんだ
3
ぷんすこはプリンの複数形であるってその嘘たまらなく好き
4
ただいまを二度と言えないあの家を遠く離れて「しあわせ」になる
5
ひとまわり大きい影を窓ぎわに落として桃をまっぷたつにする
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いちじくをつまむ指さき希望って逆接からは遠い概念
7
「かわいそう」外は雨だとつぶやいたけれどなぜだかきみの耳には
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東京は人がたくさんいるけれどひとりと傘と風とひとりと
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喝采を浴びるでもなく宵闇を背負うでもなくそこに咲く花
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いいえって言えなかったなまた少し自分が嫌いになるレッドアイ